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8月21日~23日に米国ミシガン州Frankenmuth(フランケンムス)で開催されたUSA International Paragolf Championship(第3回世界障害者ゴルフ選手権)にDGA(日本障害者ゴルフ協会)から6人の選手が出場した。

写真上左から、吉田隼人(右大腿切断)、小林茂(下肢障害)、武智秀昭(左肘下切断)、浅野芳夫(右下腿切断)、南健司(小児まひによる上肢障害)、有迫隆志(左上肢機能障害)。

それぞれ、昨年開催の第22回日本障害者オープンゴルフ選手権、今年の6月に開催した「第2回東北障害者オープンゴルフ選手権」の成績を参考に日本代表に選ばれた選手である。

トップで選抜された小山田雅人選手は渡米2週間前に急病で入院。順調に回復しているが、今回はドクターストップがかかり出場出来なかった。

★どんなコース、どんな場所だったか

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会場のコースは「The Fortress」という。ゴルフ場の名前らしくはないが、地元の人に聞いて見ると、昔ここには農園(プランテーション)があり、その主人の館が「The Fortress」と呼ばれていたとか。その名前がそのままゴルフ場の名称となったらしい。

コースはフェアウェイはさほど狭くはないが、ラフは難しい。特に長いヒースのなかにボールが入ればなかなか見つからないし、出すのは至難の業だ。グリーンはよく整備されているものの、早かったり遅かったりして読みにくかった。

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ラフからボールを打つ吉田隼人選手

さて、今回の遠征では8月17日(金)に成田を出発。現地時間で同日14時頃にデトロイトに到着した。試合会場のあるFrankenmuthはデトロイトから車で北西に1時間半くらいの距離にある。五大湖が近く、緯度は札幌と同じくらい。気候は湿気が少なく、夏の日中は30度くらいになる日もあるが夜間は17~18度くらいに冷え込む。

選手団が滞在した間は体感的に日本の5月頃の気候だった。

デトロイトからフランケンムスまでは送迎バスをチャーターした。快適で安心だったが、途中渋滞に遭い、1時間半どころか3時間はたっぷりかかった。

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ゴルフ場のあるFrankenmuth(フランケンムス)という街はドイツ移民が作った街。ホテル、レストラン、土産物屋などはすべてドイツ風。特にクリスマス用品を販売する大きなショップがあり一年中クリスマス用品が買える。人口は5千人しかいないのに、年間100万人もの観光客がやってくる観光地だった。

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選手団が宿泊したBavarian Inn&Rodge。ゴルフ場はここから車で5分くらいのところにある。

翌日の土曜日(8月18日)には隣町のSaginawにレンタカーを借りにいった。Frankenmuthにはレンタカー店は1軒もなく、ゴルフ場より遠いところにレンタカーを借りに行くのは何だか変な感じだった。

とにかくはこの日の午後から選手達はゴルフ場で練習を開始し、アメリカ遠征の日々が始った。

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ホテルで韓国の選手団に遭遇。日本の試合にも参加している顔見知りが多い

★大会初日

19日(日)に公式練習ラウンド、20日(月)にはスポンサーとの交流ラウンドをへて、21日(火)にいよいよ試合初日を迎えた。

今回の世界選手権への参加国は10カ国。出場選手は約90人だった。試合形式は個人戦。国別チーム戦は行われなかった。

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しかしこの日は前夜から大雨が降り、7時半から予定されていたスタートは大幅に遅れた。上の写真はスタートを待つ日本選手たち。

一旦雨が小降りになり、晴れ間も出て10時からのスタートが発表されたが、グリーンなどゴルフ場のコンディションが悪いためさらにスタートは遅れ12時からのショットガンスタートとなった。

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遅れたスタートを待ちながら、グリーンで練習する選手達

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小林茂選手とステファン・ターパック(USA 右)、ヨーナス・グラムズ(カナダ 左)

しかし、午後3時頃になると再び雨が降り出し、しかも雷が鳴り始めた。競技は一旦中止された。

選手達はクラブハウスで競技再開を待ったが、天候の回復が思わしくないことやゴルフ場のコンディション、選手の安全を考えて、1日目の競技は中止との決断が下された。この時点で、競技は54ホールから36ホールに短縮された。

日本選手たちに様子を聞いてみると、この日は6ホールから9ホールほどを消化しており、選手によっては「パープレーだったのに残念」とか「5オーバーも打ってしまっていたので助かった」という声があった。

★試合2日目(事実上の1ラウンド目)

雨は止んだが、朝方はどんよりとした曇り空。強い風が吹いていた。気温が下がり、ポロシャツの上にセーターとジャンパーを着込んでも寒いくらいだった。

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スタート前に選手の記念撮影をする。頑張ってね

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セータを着てプレーする小林茂選手

だんだんに天気は回復し、昼近くなると暖かくなってきた。しかし、風は止まず、難しいラウンドとなった。

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スコアボードにぼつぼつと第1ラウンドのスコアが書き込まれる

・第1ラウンド、日本人選手の成績

小林 茂  82
吉田隼人  82
浅野芳夫  85
南 健司  89
有迫隆志  95
武智秀昭  96

ちなみに、この日のベストスコアはチャド・ファイファー選手(USA)ら3人が75のタイスコアで並んでいた。

日本人選手に「せめて70台が一人でもいるといいね」と言ったところ、吉田隼人選手が「すみませんでした。明日は頑張ります」と言った。

★最終日

試合3日目(事実上の第2ラウンド)は風もおさまり、からっと晴れたゴルフ日和だった。

組合せは、第1ラウンドの結果順。小林茂選手と吉田隼人選手は同組で回り、優勝争いをする最終組はチャド・ファイファー、ケニー・ボンズ、クリス・ビギンズ、ジェレミー・ビトナー選手(すべてUSA)だった。

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初日の満足出来ないスコアを挽回しようと頑張ってプレーする有迫隆志選手

女子

女子選手 左からHan Jeongwon(韓国)、デボラ・スミス(USA)、シンディ・ローレンス(USA)

女子の選手のうち、写真左のHan Jeongwon選手は2016年の第21回日本障害者オープンゴルフ選手権でもプレー、今回も女性とは思われない飛距離を武器に女子の部のNO1を獲得した。また、写真右のシンディ・ローレンス選手は女性には珍しい両下腿切断の選手。世界には様々な障害者ゴルファーがいることを改めて感じさせられる。

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選手層の厚さを感じさせるのは女子だけではない。写真上のクリス・ビギンズ選手は静止画で見ると、一見何の障害か分かりにくいと思う。しかし、彼の障害は脳性マヒ。実際に歩いている姿はかなりのびっこを引いているし、体幹も安定していない。にもかかわらず、カートには一切乗らず、すべてのホールを歩いてプレー。お父さんと思われるキャディが重いバッグを担いで付き添っていた。

さらに驚かされるのは彼の成績。初日は75をマークしてトップタイ。2日目は79を叩いて後退したが男子総合では4位に入るトッププレーヤーだ。

障害者ゴルフの歴史から、切断プレーヤーが多いアメリカだが、世界選手権を開催することによってビギンズ選手のような切断以外の優れた障害者ゴルファーが出てきている。

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最終日最終組 左からクリス・ビギンズ選手とキャディ、ジェレミー・ビトニー選手、ケニー・ボンズ選手(すべてUSA)

パーティ

さて、ようやく長いようで短かった3日間の世界障害者ゴルフ選手権が終了。上の写真は表彰パーティ会場での日本人選手と同行したDGA理事でクラス分け委員の水田賢二氏。会場は選手団が宿泊したホテルと同じ経営のレストランZehnders(鶏料理で有名)の宴会場で賑やかに行われた。

★大会結果

表彰1

世界障害者ゴルフ選手権G1の部(下肢に重い障害)で吉田隼人選手が3位

表彰2

G5の部(上肢に重い障害)で有迫隆志選手が3位

第3回世界障害者ゴルフ選手権男子総合の部

優勝 ケニー・ボンズ(USA)   149(76  73)
2位   チャド・ファイファー(USA)  151(75  76)
2位   ジョシュア・ウイリアムズ(カナダ)  151(76  75)

なお、日本の吉田隼人選手は最終日に73の第2ラウンドベストスコアタイを記録。トータル155で男子総合の部5位タイに入った。初日に70台が出なかったのが悔やまれるが、吉田選手は初の海外遠征。今後のDGA海外遠征では活躍を期待しよう。

参考までに、これまでのDGA海外遠征での最高順位は2005年にアメリカ、ニューヨークのベスページゴルフクラブで行われたNAGAチャンピオンシップで小山田雅人選手が記録した男子総合3位である。

・第3回世界障害者ゴルフ選手権・日本人選手の成績

吉田 隼人  82   73=155      男子総合5位タイ・G1の部3位
小林  茂  82   79=161      男子総合10位
浅野 芳夫  85   84=169     
有迫 隆志  95   83=178  G5の部3位
南  健司  89  90=179
武智 秀昭  96  86=182

8月17日から26日まで渡米した日本選手団。直前にトッププレーヤー小山田雅人選手の欠場や悪天候で第1ラウンドが中止になるなどハプニングはそれなりにありました。結果は必ずしも満足出来ない部分もありますが、若手の吉田選手が初遠征ながら総合5位タイに入るなど将来に向けての良い兆しがみられたと思います。

応援して下さった多くの皆様、遠征のために寄付などのご協力をいただいた皆様、ありがとうございました。今後もDGAの国際活動を応援して下さい。

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表彰パーティでの日本チーム(有迫選手が撮影)

Photo by Seijoe Sato
Text by   Haruko Matsuda